『ディスクロージャー・デイ』鑑賞。
三ヶ月に及ぶ延期を経て、ようやく我が国でも”開示”されたものの、スピルバーグ直撃世代も含めてなかなかの困惑をもって迎えられている様子ですが…😅
なるほどこれは、良くも悪くも健在で不変のTHE・スピルバーグ映画。
前半の追跡サスペンス・アクションは、往年の病的なまでの執拗さは薄まっているものの、まことに快調でグイグイ見せます。往年の自作の集大成的な再現や、彼が大好きなヒッチコックのリファレンスも大いに楽しいし。
後半から『サイン』(’02)的な運命論も含めたスピリチュア~ルな暗雲が立ち込めてオヤオヤと不安が募り、肝心のクライマックスでは、フル回転で盛り上げてくるTHEスピルバーグ演出と劇中で起こっていることに絶望的な乖離が生じて、相当キッツい事になりはします。
『未知との遭遇』(’77) みたいに、有無を言わせぬ壮絶な現物ドーン!が衆目の中で展開するならともかく、このフェイクAI映像が氾濫して、誰も絵では驚けなくなった現代に、映像だけで…それも過去の秘匿資料の開示だけで、世界情勢がデングリ返るほどのビッグ・イベントになるもんかい!🙄ってのは、皆さん思うところでしょう。
しかしスピルバーグは「だってグレイやロズウェルやミステリー・サークルの秘密が、ついに開示されるんだぜ。そりゃ世界中が上を下をの大騒ぎで、全面核戦争の危機なんて軽々とフッ飛ぶだろうさ」と、どうやら本気で信じてるんですね。少年期に夜空を見上げ、UFOや宇宙人に無心に憧れた、そのまんまの眼差しで!
来年には傘寿を迎えようという老巨匠が、ここまでピュアなマインドを変わらず温存していたというのがまず驚異ですし、それをこの時代に無防備に、臆することなく”開示”してきたこと自体が、なかなかのインパクトの「ディスクロージャー・デイ」と言えましょう。
『未知との遭遇』の時点でトンデモ・ビリーバーたちに格好のオカズを提供してしまった事にはまるで無頓着に、陰謀論肯定みたいな事を野放図にやらかしているのは看過できぬ失点とは思うし、世代的なズレが明白になってしまった寂しさは有るものの、長年に渡ってこの人の映画の薫陶を受けてきた自分的には、その”健在”ぶりを、やはり感慨深く受け止めましたです。
好きか嫌いかと問われれば、自分は大好きな映画です。
🔽複雑な思いを込めて長めに続きそう