阪神がCS敗退して、「CS制度に納得行かない」という話がまた盛り上がってますね。
CSについては、前身のプレーオフ制度が導入された2004年当初から、「レギュラーシーズンの勝率1位チームを差し置いて2位以下のチームが日本シリーズに行くのはおかしい」との批判が強かった。
NPB側もその批判に応答して、アドバンテージ制度をいじったり、リーグ優勝と日本シリーズ出場権を切り離したり、次々に制度変更をしてきた。
特にリーグ優勝と日本シリーズ進出を切り離してしまったのはもはや制度の自己否定と言わざるを得ないレベルだが、とにかくそうやってごまかしながら続けてきた歴史がある。前身のプレーオフ制度から通算すると20年以上経過したが、定着したとは言い難い。
ここで米国を見ると、MLBでは、ワイルドカードシリーズから地区優勝決定シリーズに至るトーナメントを勝ち抜いたチームがリーグ優勝チームであり、リーグ優勝チームがワールドシリーズに行く。
リーグの勝率1位でないチームがリーグ優勝とされることに文句を言う人などおらず、皆が納得していて、すっかり定着した制度となっている。
では、なぜNPBのファンや関係者はMLBと違ってCS制度に納得せず、「レギュラーシーズンの覇者こそが日本シリーズに行くべきだ」と、文句を言い続けるのか。
この点は、「日本のやきうファンが懐古厨だから」では済ませられない、それなりにもっともな理由があると思う。
その理由とは、「NPBのレギュラーシーズンは完全な総当たり戦だから」。
普段MLBを観ない人はご存知ないかもしれないが、MLBのレギュラーシーズンは、総当たりのリーグ戦とは言い難い特殊な仕組みになっている。同じリーグに所属していても、相手チームによって当たる回数が大きく異なるのだ。
ざっくり言うと、
① 同リーグ同地区のチームとは均等に13試合ずつ対戦する
② 同リーグ他地区のチームとは6~7試合ずつ対戦する
③ 他リーグのチームとは3~4試合ずつ対戦する(交流戦)
こんな感じ。
このような制度下では、レギュラーシーズンの勝率がリーグ1位のチームがリーグ優勝であって然るべきだとは言いにくい。たまたま弱小チームが多い地区にいると著しく有利になるからだ。
これはMLBでプレイオフ制度が抵抗なく受け入れられている大きな理由の一つだろう。
実はMLBも、1968年までは完全な総当たり方式だった。
そして、ここが重要なのだが、完全総当たり時代のMLBでは、レギュラーシーズンの勝率1位チームをリーグ優勝とし、リーグ優勝チームが直接ワールドシリーズに行っていた。つまり現行のようなワールドシリーズ以前のトーナメントはなかった。
ワールドシリーズ以前のトーナメントは、1969年の地区制導入によって相手チームごとの対戦数がバラバラになったのと同時に導入された。
つまりMLBのポストシーズンは、「総当たりでたくさん試合をやって負けたのに敗者復活ができる」という制度だった時代はないのだ。(ただしワイルドカードからの勝ち上がりを除く)
このあたりが、MLBと違ってNPBではトーナメント方式のポストシーズンに納得を得にくい主要な原因だと思う。
とはいえ、CSも興行的に絶大なメリットがあるのは確かだし、CSのおかげで消化試合が激減するからレギュラーシーズンの野球にも好影響があるのは間違いない。
CS廃止論も根強いが、ビジネスとしては完全に成功しているのだから、廃止される可能性は事実上ゼロだろう。
どんなに嫌がったところで廃止はされない以上、このCSというヘンテコな制度とどう向き合うかは、NPBのファンにとって永遠の課題かもしれない。