息子を迎えに行く為に帰ったのに、帰宅したら息子が中から玄関におかえり〜って来るってどうゆーこと?!w
その取引先は、女性社員が5年間担当してきた会社だった。
最初は小さな契約だったが、少しずつ取引が増え、今では部署でも重要な顧客になっていた。
担当者はいつも、彼女の仕事ぶりを評価していた。
ある日。
担当変更の連絡を受けた取引先の社長が、営業部長に電話をかけてきた。
「彼女はもう担当じゃないんですか?」
「はい。社内の体制変更がありまして」
「何か問題でもあったんですか?」
「いえ、そういうわけでは……」
すると社長が、
「正直、彼女だから御社と取引を続けてきた部分もあるんですよ」と言った。
部長は驚いた。
社長は続けた。
「以前、うちで大きなトラブルがあったとき、彼女が最後まで対応してくれたんです」
そのトラブルは2年前のことだった。
納品した商品の一部に不具合が見つかり、取引先の業務が止まりかけた。
女性社員はすぐに関係部署と連携し、代替品の手配を進めた。
必要な対応を終えるまで、何度も取引先に足を運んだ。
社長はそのときのことを覚えていた。
「責任感があるし、何より約束を守る。ああいう人に担当してもらいたいんです」
そして最後に、
「できれば、彼女を担当に戻してもらえませんか?」
とお願いした。
部長は改めて、女性社員の実績を確認した。
営業成績は上位。
顧客からの評価も高い。
納期遅れもほとんどない。
それなのに、残業できないという理由だけで主要案件を外されていた。
翌日。
部長は課長を呼び出した。
「彼女の担当を外した理由を教えてくれ」
「家庭の事情で残業できないので、重要な仕事は難しいと判断しました」
「担当案件で何か問題が起きたのか?」
「いえ、特には……」
「営業成績が落ちたのか?」
「それもありません」
すると部長が、
「だったら、何を根拠に仕事を外したんだ?」
と尋ねた。
課長は答えられなかった。
その後、女性社員は元の担当に戻ることになった。
さらに、部長は営業部全体の働き方を見直した。
残業できるかどうかではなく、仕事の成果や顧客からの評価を重視する方針に変えた。
数か月後。
女性社員は新しい大型契約を獲得した。
部長からも高く評価され、後輩の指導を任されるようになった。
ある日の夕方。
女性社員が帰ろうとすると、部長が声をかけた。
「今日も息子さんのお迎え?」
「はい。すみません、お先に失礼します」
すると部長は笑って、
「謝らなくていい。今日の仕事は終わってるんだろ?」
「はい」
「だったら、気をつけて帰ってね」
女性社員は深く頭を下げた。
帰宅すると、息子が玄関まで走ってきた。
「ママ、おかえり!」
「ただいま」
「今日ね、学校で100点取ったんだよ!」
息子は嬉しそうにテストを見せてきた。
女性社員は息子を抱きしめた。
「すごいね。頑張ったね」
すると息子が、
「ママも毎日お仕事頑張ってるもんね」
と言った。
女性社員は思わず涙が出そうになった。
母子家庭だからといって、仕事への責任が軽くなるわけではない。
でも、母子家庭だからという理由で、仕事の能力まで低く評価される必要もない。
彼女が求めていたのは、特別扱いではなかった。
決められた時間の中で出した成果を、正当に評価してもらうこと。
そして、仕事も息子との生活も、どちらも大切にできることだった。