ボブディランがキャリア初期に社会運動の象徴に祭り上げられたがその座からスルリと外れていつのまにか自分がやりたい事だけやるスタンスを確立したのを見てミュージシャンはああいう感じでやれば良いのだと思いました。
ロックは必ず政治的で、左派的な音楽なのでしょうか?
最近、メタリカがコンサート中に自分たちの政治的立場について発言することを拒否した件が議論を呼んでいます。それを受けて、「ロックは政治的であるべきだ」「ロックは左派の音楽だ」と主張する人も少なくありません。
僕自身、このジャンルの音楽が大好きですが、その答えは「いいえ」だと考えています。
理由は次の3つです。
① ロックは本質的に左派の音楽ではない
ロックミュージシャンの中には、右派や保守的な思想を持つ人も昔から存在しています。
例えば、ラモーンズのジョニー・ラモーン、エルヴィス・プレスリー(実際にニクソン大統領と面会しています)、キッド・ロック、アリス・クーパー、デイヴ・ムステインなどです。
「反体制」の象徴として語られることが多いパンクの世界でさえ、右派的な思想を持つ人物は存在してきました。
つまり、ロックを愛することと、特定の政治思想を支持することは、必ずしも結びつかないのです。
② 社会主義国家では、ロックが禁止・検閲されていた
かつてソ連、東ドイツ、チェコスロバキアなどの共産主義体制下では、ロックが検閲されたり、活動を制限されたりすることがありました。
なぜでしょうか?
それは、ロックが「退廃的」「個人主義的」であり、西側諸国、つまり資本主義社会から生まれた文化だと見なされていたからです。
そして、忘れてはいけないことがあります。
ミュージシャンがステージ上でどのような政治的姿勢を示していようと、音楽産業そのものは、資本主義と深く結びついているということです。
もしロックが必ず左派的な音楽なのであれば、社会主義国家でこれほど警戒されることもなかったのではないでしょうか。
③ ロックの多くは、そもそも政治を目的としていない
ロックのすべてが政治的なメッセージを持っているわけではありません。
実際、多くの楽曲は恋愛、人生、自由、孤独、喜び、苦しみなど、さまざまなテーマを扱っています。
政治的な主張を前面に出すバンドや楽曲もありますが、それがロック全体を代表しているわけではありません。
確かに、ロックは歴史的に反体制文化と結びついてきました。特に1950〜60年代には、保守的な社会の価値観に挑戦する存在でもありました。
しかし、「反体制」や「カウンターカルチャー」が何を意味するのかは、時代や国、社会環境によって変わります。
ある社会では左派的な思想が反体制になるかもしれませんし、別の社会では、その逆になることもあるでしょう。
ロックは非常に幅広い音楽ジャンルであり、これまでさまざまな政治的立場の人々によって演奏され、受け入れられてきました。
だからこそ、僕はロックを特定の政治思想だけのものにするべきではないと思っています。
ロックを愛する人が、必ずしも左派である必要はありません。
そして、音楽を楽しむために、自分の政治的立場を表明する義務もないはずです。