1939年(昭和14年)4月21日
福岡県に住む16歳の少年。旧制中学校の5年生で卒業間近。同性愛者であり、進路や恋、性について悩んでいるようだ。同級生の古賀君に恋をしている。この日は、その古賀君がもし自分の言うことをなんでも聞いてくれたら、という妄想をした日の日記。
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●余が古賀に求むるもの
もし古賀が何でも余の言うことを聞くと今言うならば余はさて何を求めようか。
最大の欲望は接吻。さて彼の心をはっきりつかむことが第二。次は抱擁。これは接吻と同時に求むべきであるかも知れない。第四は一緒に住むことを要求したい。
しかしこれ等を全く余は遂げ得なくても彼を思う。彼を思う余の心は決して変わらないのであろう。山口先生は余に同性愛を感じて呉れると余は喜んで全てを許すのだが、接吻されることは余程いやな妙な気持ちがするものであろう。
蕾は慎みなく奪う。而(しか)して不思議なことには相手は何も失ってはいない。慎みなく集(ま)るなり。
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2月25日の日記(以下のリンクからたどれます)に引き続き、同級生の古賀くんに恋い焦がれる少年。この日記では、もし古賀くんが自分の言うことをなんでも聞いてくれたとしたら……そんな妄想に耽っている。
やりたいことはまずは「接吻」なんだそうだ。さらには「抱擁」や「同棲」まで妄想を広げてしまっているところが可愛らしい。「蕾は慎みなく奪う」という一文に10代の性欲と妄想力の強さを感じずにはいられない。相手が異性だろうが同性だろうが、思春期の少年はいつだってこんなことを考えているものだ。
ちなみに古賀くんに熱い想いを抱いている彼は、少しばかり学校の山口先生も気になっているようだ。この先生に求められたら「全てを許す」とまで言い切っている。このあたりもまた思春期の少年ならではという感じだ。
彼の以前の日記は以下に。
x.com/___ka38___/status/2029…
昭和14年の出来事
1月 相撲で69連勝を続けていた横綱双葉山が破れる
1月 チリで大地震(M8.3、死者約8万名)
3月 ドイツがボヘミア・モラヴィアの保護領化を宣言
4月 イタリアがアルバニア王国に侵攻
4月 ドイツがドイツ・ポーランド不可侵条約破棄を宣言
5月 満州とモンゴル国境で日本・ソビエト連邦軍が衝突(ノモンハン事件)
7月 日本で国民徴用令公布
8月 独ソ不可侵条約締結
9月 ナチス・ドイツ軍とスロバキア軍によるポーランド侵攻
11月 アル・カポネがアルカトラズ刑務所から釈放